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大学院研究計画書の書き方

研究計画書に関する当予備校出版の究極の2冊
 
進研アカデミーグラデュエート大学部の講師が執筆
 
 
「これで書ける研究計画書攻略法」野林靖夫著
              オクムラ書店
「合格ナビ!研究計画書の書き方」
千島昭宏著・野林靖夫監修 東京図書
 
 
注目!
これがデキる研究計画書だ[MBA編]
大学院研究計画書の書き方    
「研究計画書」といわれても、実際には、どの程度のものが書かれ、どのように評価されているのか具体的なイメージはしにくいだろう。
そこで、一つの例を見せながら、自分なりに評価してみて、採点者の評価と、どう違っているかチェックしてみよう。
研究計画書の作成法
進研アカデミーグラデュエート大学部

試験官はここを見る!

◎研究の妥当性
◎研究の独自性
◎論理性
◎指導の可否
◎研究の実現性
研究計画書は大学院入試のときに必要な提出書類で、入学後、自分が取り組みたい研究について記すものである。決して研究計画書を単なる提出書類の一つ、などと考えないことだ。むしろ、研究計画書で合否が決まるといっても過言ではない。
なぜなら社会人入試の場合、筆記試験よりも、研究計画書と面接で合否を判断する大学院が多いからだ。しかも、面接は研究計画書を基に進められることが多いため、面接の参考としても重視される。内容に不備があると面接時に指摘される可能性があるので、過不足のない仕上がりにしておきたい。

★ 研究計画書作成の手順

試験管を納得させるレベルの高い研究計画書を書くには、しっかりとした構成が不可欠、いきなり研究計画書を書き始めるのは無謀なやり方だ。自分の研究テーマと受験する専攻あるいは研究科との関連性をきちんと持たせることが肝心で、なおかつ研究内容についての知識と創造性が求められる。
第一段階として、現在想定している研究の過程をフローチャートにして、問題点をあぶり出す。この段階で論理的に矛盾するところはないか、研究が実現可能かなどをチェックする。
同時に、研究テーマ自体が魅力ある内容かを検討する。既に結論が見えているものや、書籍を読むだけで結論が出るようなものはテーマとして新奇性に乏しく、入試を突破するのは難しい。時事的なもの、期限が決まっているいるようなテーマも注意したい。
例えばある法律をテーマにしても法律が改正されれば、研究する意味がなくなる。その可能性がある場合は、テーマに伸縮性を持たせたり、その先を示唆するようなひねりを加える必要がある。

★ 説得力のある計画書にするには

第二段階は、各過程に沿って先行研究を取り入れながら、研究計画書のコアとなる部分を固めて、研究の計画を立てる。ここまでの作業で、骨組みができる。さらに精度を上げるには次の方法を参考にするとよい。
まず、先行研究のなかで自分の主張と合うものを探し出し、その部分を引用することで自分の主張を代弁する。これによって信頼性が高まる。特に心理学や社会学などの分野では、先行研究の引用は必須である。専門分野で著名な研究者の論文などから引用するのがよいだろう。
第三段階は、志望する研究科や指導教員の研究テーマに合わせて、研究計画書の論旨を調整する。
  例えばフリンジ・ベネフィット(給与所得者が本来の給与のほかに受ける経済的利益)に対して課税をし、税収を増やすというテーマの場合、志望研究科が法学研究科であれば判例、経済学研究科であれば財政再建や地方活性化、経営学研究科であれば企業の財務体質と発展につながるシステムなどをからませることが必要だ。切り口を法人税に置くか、所得税に置くかが志望理由にもつながってくる。
  注意したいのが、志望校の教員の研究テーマありきで研究計画書を作成してしまう人が多いことだ。それでは、研究の目的がずれてしまう。本来ならば、自分の考えるテーマがあり、テーマを追究するために大学院や指導教員を選ぶのだが、それが逆になってしまうのだ。入学後、その研究にモチベーションを持って取り組むことができるのか、冷静に考えてほしい。
  最後に、論文の切り口が決定したら研究方法を決める。これは研究テーマの種類により異なる。研究テーマは次の3つの型に大きく分類できる。
  1つ目が実証分析型で、MBA(経営学修士)や臨床心理がこのタイプとなる。2つ目は改革・提案型で法改正や税制度に対する提案がこれに相当する。そして3つ目が理論検討型だ。
  それぞれのタイプに合わせて、研究手法によっては尺度や相関関係、因子分析などを盛り込む。MBAの場合も同様に統計手法やケーススタディーを取り入れ、仕事を通じて得たノウハウや蓄積した資源をアピールする。心理学の場合は尺度が不可欠なので『心理測定尺度集Ⅰ・Ⅱ』(サイエンス社刊)などを参考にしてどの尺度を用いるかを検討するとよい。いずれにしても、量的アプローチと質的アプローチが2本柱になる。
  2つ目の改革・提案型では、現状に対する自分の考えを提案する。海外で導入している施策の例があれば、それらを比較し、日本に適合するタイプの導入を提言する。
  最後の理論検討型では、似通った理論を比較していく。この型は研究者養成型の大学院に多い。
  研究の計画が明記されていないと、大学院入学後にどうやってその研究を進めていくのか、計画性、具体性がないと判断されてしまう。
上記の点に関して詳しくは、『合格ナビ 研究計画書の書きかた (東京図書)』をご覧下さい。
 
  研究手法が確立されたら、その手法で十分な」データが取れるか否かを検討する。例えば心理学分野で摂食障害を研究テーマに設定していても、アンケートの調査のみでデータをとることは難しい。
テーマとしては面白くても、研究としては成立しない。そもそも修了までに実現可能な研究なのかどうかも合格基準の一つなので、慎重な検討が必要だ。
  大学院によっては2年次から修士論文の準備に入る。事前の資料集めや調査などは想像以上に時間がかかると思っておこう。研究成果をしっかり上げ、満足のいく修士論文を作成するためには、研究計画を立てる段階から修了までのスケジュールを意識することが大切だ。

★ 研究計画書を書くときの注意点

ここまでの手順を踏んでから実際に研究計画書の執筆に取り掛かる。その際、これまでの流れを箇条書きにして、矛盾がないかをチェックすると共に、①これまでの職務を通じて得たスキル、これまでの学習・研究の経過および職務を通じて感じた問題点、②大学院進学を考えた理由、③具体的に関心を持っている研究テーマ、④③を研究・学習するためのにどのような科目を履修するのか、⑤この大学院をなぜ受験するのか、そのことにより期待される成果、卒業後の抱負の5点を明らかにしておく。その結果、論点にズレがない研究計画書が完成する。
  研究計画書の形式は大学院、研究科によってさまざま。用紙が決まっていたり、字数が制限される場合もある。指定の形式に従うのは言うまでもないが、例えば1000字の場合ならば、面接試験の準備も兼ねて、一度3000字から4000字程度で書くことを勧める。拡大版の原稿から面接の際に想定される質問と回答を用意しておく。その後、提出用の研究計画書として1000字程度にまとめ直す。面接で聞いてほしい箇所はわざとさらりと書くにとどめるのもよい。高等テクニックだが、研究計画書と面接という一連のながれに一貫性ができる。
  研究計画書の文体は、全体で統一しておけば「です・ます」調「である・だ」調のどちらでもかまわないが、「である・だ」調で書くことをお勧めする。「です・ます」調では文字数がとられてしまい、
一方の「である・だ」調は力強さが出るからだ。

★ 第三者の目で精査をする

   研究計画書を書き上げたら、研究の目的や背景を2-3行に書き直して、矛盾がないかチェックする。執筆前に確認した「何を提言するのか」「なぜこの研究を行うのか」「研究の売り」が伝わるように表現されているか確認する。
  研究計画書が出来上がったからといって、それで終わりにしてはならない。独りよがりのものになっている可能性があるからだ。第三者に査読してもらい、分かりにくい点を指摘してもらうこと。できれば希望する研究室の指導教員に見てもらうのがよいだろう。最近では多くの教員や研究室でウェブサイトを開設し、そのなかで連絡先などを開示していることも多い。試験1ヵ月前くらいまでなら、アクセスしてもよいだろう。まずはメールなどでその研究室への進学を希望していることを伝える。指導教員からの許可がでたら研究計画書を送付して添削をしてもらうことも出来る場合がある。いずれにしても、指導教員とのコンタクトが上手くいけば面接もスムーズに乗り切れるケースが多い。
(例題) 本研究科を志望した動機、研究計画、卒業後のキャリアゴールについて書きなさい。 (1600文字程度)

研究計画書例

①(志望動機)
  私は、介護関係の会社で5年間、営業に従事してきた。業務で担当したほとんどの顧客は、在宅介護を基礎にしていたが、営業として医療や介護の充実を優先した結果、施設介護へ移行するようになった。
  しかし、職務を通じて見えたのは、そのような施設介護サービス業が必ずしも顧客満足につながっておらず、解約されるケースが多く見られ、結果として企業と顧客両者の損失につながるジレンマに陥っているということであった。このような状況を見るにつけ、顧客が真に望むような在宅介護サービスを提供できていないことを強く感じた。
  ②そこで、現職より一歩外に出て、本研究科で医療、介護、ビジネスの現状を客観的に見つめなおす必要があると考え、大学院への進学を決定した。また今後、現事業をさらに大きく展開して、顧客ニーズを充実させるには、先進的なマーケティング手法を取り入れた経営を行うべきである。これに加えて経営戦略、組織戦略、消費行動を学びマネジメントに活かしたいと考えている。本研究科では、経営だけの視点や医療・介護だけの視点でもない療法の視点を持ったヘルスケアマネジメントの勉強が可能であることも志望動機の一因である。
 
③(研究計画)
  本研究では、以上の問題意識を踏まえて、顧客が真に望む在宅介護サービスの実現性について検証したい。医療・介護ビジネス戦略を同時に実現するためには、顧客のニーズを汲み取り、そのニーズを実現できるようなイノベーションを生み出すネットワークの構築が必要であると考えている。
  介護産業は民間に開放されてからまだ日が浅く、ほかの産業と比較しても、しっかりとした経営が行われているとは言い難い。また、介護と医療の連携がうまくいっておらず、そこにサービスの質の向上の余地があるのではないだろうか。そこで、本研究では、介護におけるマーケティングと、地域医療機関とのネットワークの構築を考えたい。ニーズに対応する援助技術では、もともとあるバラバラの資源(例えば、地域医療機関)についてネットワーク化を図り有機的に連携することが効果的なのではないだろうか。
  換言するなら、人と人、組織と組織の間にどのような連結や情報の流れを作るのか、さらには異質な人と組織の間にどのような接点を設けるのかということである。具体的には、地域の中核病院、医療センター、クリニックなどの医療機関や在宅医療・介護機関における各期間がお互いの個性を尊重しながら連携して新しい価値を創造していく方法や、連携から新たに生まれた共存共栄ビジョンを取り入れた医療モールなどのビジネスモデルも想定している。
  ④研究プロセスとしてまずは基礎的な経営の知識、マーケティング論を習得したい。得られた知識を基に、潜在的なニーズを探る第一段階として、例えば藤沢市辻堂地区の地域包括支援センターでの在宅介護の現状に関するインタビュー調査を想定している。この地域の高齢者へのアンケートを5点数評価で行い、その傾向を分散分析や回帰分析を用いて検証する。これらの調査を基にニーズを析出しそれに対応するサービスの提供や、連携の方法を考えたい。
 
⑤(キャリアゴール)
  貴校で確立した仮説を、医療・介護のコーディネート活動の現場で検証していきたいと考えている。そのためには、多くのケーススタディに真剣に取り組み、問題の本質を読み取る力を向上させ対処法を身に付けたいと考えている。そのうえで、貴校で培った知識、分析力を十分に活かして医療・介護経営コンサルタントとして高齢者が住みなれた家で生活し続けるための地域医療・介護連携のさらなる充実化を図れるように現場に還元していきたい。

⑥(参考文献)
フィリップ・コトラー著 井関利明監訳(1991)『非営利組織のマーケティング戦略 - 自治体・大学・病院・公共機関のための新しい変化対応パラダイム』第一法規出版
真野俊樹(2007)『介護マーケティング』日本評論社

入試採点者はココを見る!!

大学によってはこれまでの経験の中で危機をどのように乗り越えたか、など受験者の実務能力やプレゼン能力を問うところもある。
今までの経験や現在の能力、入学後どのような貢献ができるかをアピールすることが重要。
①社会人経験を通じて感じた問題意識を明確に
②大学院で学ぶ動機、研究に対する意欲をアピール
③研究テーマの独自性を主張。
社会人経験によって培われた視点を織り込み、内容を充実させる
④大学院入学後の研究計画の骨組み、研究手法を説明する。
入学してからテーマそのものが変わることもあり得る。
この段階では予定で十分だ。
⑤志望動機との一貫性をもたせよう。
⑥参考文献は必ず明記する。
どれだけ先行研究に取り組んだか、判断基準にもなる。
⑦研究計画書例
財政・税法系
MBA系
ファイナンス系
看護学
農業政策
国際開発分野
政策分野
臨床心理分野
進研アカデミー 
グラデュエート大学部
〒214-0014
神奈川県川崎市多摩区登戸
2777-2 N100ビル201

 
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